「最後の人類」 オオノタマキ[大野環]の凍遺体が発掘されたのは A.D.2,511,015,759年の夏だった・・・
23世紀初頭。トウキョウ・ソーシャルカレッジでは
異星へ探査機を飛ばさず、その土壌を次元転移によって直接持ち帰る 空間転送機の基礎研究が行われていた。
成功すれば、膨大な探査機の費用圧縮が期待出来る。
その最中のアクシデントだった。
人類の遺体がギガ世紀のオーダーという法外な上位世紀から発見されたことに

人々は驚いたのだが、それよりも驚嘆すべきことは

その遺体のDNAからハイフリック限界を克服した"SORAE遺伝子"が発見されたことだったのだ。


普通、細胞の分裂には限界がある。爪先からクローンを 丸ごと再生するなど不可能なのだ。
遺伝子の先端にテロメアと呼ばれる終端を意味する物質がある
。 分裂の度にテロメアは少しずつ分断され最後に無くなってしまう。
物理的に遺伝情報の正確な読み出しが不可能になってしまうのだ。 これがハイフリック限界である。

テロメアを復元するテロメラーゼ という酵素もあるには在るが無限では無い。
SORAE遺伝子はこのテロメアの無制限自己修復を可能にするもので、 もちろん現生人類には無い

2218年。人、猿、イルカの諮問機関である霊長類頂上会議地球永劫管理機関を設立
霊長類による地球の永世所有を宣言する。
「永劫機関」の誕生である。

目的:「正当なる霊長類の末裔に地球を継承すべく その保全のあらゆる責任を負う。」

永劫機関 エンガルフ E.N.G.U.L.F EVERLUSTING NATURAL GUARD UNLIMITED FOUNDATION